【理科教師必見】ザラメを使って簡単にふくらむカルメ焼きの作り方

カルメ焼きは中学校理科の教科書にも紹介されていますが、なかなか成功しない実験としても有名です

私も長年この実験を指導してきましたが、何度も失敗をし子どもたちをがっかりさせてしまいました

屋台のおじさんは簡単そうにふくらませているのになぜ成功しないんだろうといつも不思議でした

そして研究を重ね2018年、やっと成功率100%の方法を発見しました

この記事では私が今までに発見した全てのテクニックを全て公開します

中学校の先生方、そして中学生の皆さんのお役に立てればうれしいです

この記事を読めばご家庭でもカルメ焼きが作れるようになりますので、ぜひ最後までお読みください

カルメ焼きがふくらむ理由

まずはじめになぜカルメ焼きがふくらむかについてお話しします

カルメ焼きは砂糖を加熱し、ドロドロに溶けたところに重曹卵を入れてつくります

実はこの重曹と水分がカルメ焼きをふっくらとふくらませる働きをしているのです

重曹は正式には炭酸水素ナトリウムという名前なんですが、熱を加えることで熱分解し発泡入浴剤のように二酸化炭素と水を発生させます

ドロドロのザラメなら発生した二酸化炭素水(水蒸気)は泡となって出ていってしまいふくらみません

しかしザラメが冷えてちょうど固まろうとするギリギリの温度で重曹を加えることにより、二酸化炭素と水蒸気はカルメ焼きの中に閉じもめられてカルメ焼きをふんわりとふくらませるのです

ちなみにこの時発生する炭酸ナトリウムは苦い物質です。重曹を入れすぎるとカルメ焼きが苦くなるのはこの炭酸ナトリウムが多量に生成されるからなのです

重曹卵の卵白は自らのタンパク質の熱変性によって重曹を包み込み、重曹がおたま全体に混ぜられるまで熱分解を遅らせる働きをしているようです

カルメ焼きの歴史

日本にカルメ焼きが伝わってきたのは1543年頃の室町時代後期までさかのぼります

ポルトガルからやってきた南蛮人は鉄砲やさまざまな工芸品、食べ物を日本に伝えました
その中に「南蛮菓子」としてカルメ焼きが含まれてたようです

カルメ焼きの「カルメ」とはポルトガル語のcaramelo(カルメロ)が語源です

当時の砂糖は貴重品で一般の市民は口にすることはできませんでしたが、新しい物好きの織田信長なら食べていたかもしれません

1543年(天文12年)織田信長は10歳でした 
この甘いお菓子が信長の目を外国に向けさせるきっかけになったのかもしれません

準備物

  • ザラメ‥‥‥30g (1回分)
  • 水‥‥‥15ml    (1回分)
  • 卵白‥‥‥大さじ1
  • 重曹‥‥‥大さじ1
  • おたま (できれば銅製のカルメ焼き用おたまがおすすめ)
  • すりこぎ棒
  • 温度計 150℃くらいまではかれるもの
  • 割り箸
  • 新聞紙
 
カルメ焼きはザラメ以外の砂糖でもつくることができます

 

◯上白糖(白砂糖)‥‥‥白色のため温度変化を色の変化で見やすい。

◯グラニュー糖‥‥‥温度変化が色の変化となって表れにくい。白色のまま固まるので、食紅でカラフルなカルメ焼きを作れる。カルメ焼きで失敗しにくい砂糖と言われている

※売り物になっているカルメ焼きは、ザラメが主成分で他に黒糖や水飴などが加えることで独特の風味を出しているようです

カルメ焼きの作り方

作り方

  1. 卵白小さじ1と重曹小さじ1をまぜ、重曹卵(発泡剤)を作る
    ※これでカルメ焼き10個分くらいになります
    ※卵白はかたい部分ではなく水状の部分を使うのがおすすめ
    ※重曹メーカーによって粒の大きさが違う。ふっくらした気室の細かいカルメ焼きを作るには粒の細かいものがおすすめ
    ※よくまぜておかないとおたまに入れた時にダマになるので、しっかり混ぜる
    ※液状の重曹卵を使うと全体にきめの整った美しいカルメ焼きができる。かためのものを使うとよくふくらむが、少し苦くなりカルメ焼きの空洞が大きいことでくずれやすくなる傾向がみられる
    ※少量の砂糖を加える人もいるが私は必要ないと考えている
  2. おたまにザラメを30g、水15mlを入れ水でヒタヒタな状態にして弱火で溶かす
    ※水の量はだいたいでよいが、極端に多すぎると時間がかかり、少なすぎると重合が進まず白い結晶になってしまう
    ※おたまからあふれないように7分目以下の量にする
    ※100℃をこえたらよく撹拌し、おたまの中が均一の温度になるようにする
    ※慣れるまでは温度計を使って温度を測る
    ※ステンレス製のおたまよりも銅製のカルメ焼き専用おたまのほうが仕上がりがよい

    おすすめの方法
    ※事前にザラメ50g、水30mlの割合で鍋で溶かしザラメ水を作っておくとよい


  3. 120℃〜125℃度に達したら加熱をやめ、気泡が消えるまで待つ
    ※100℃を超えると泡の音が変わる
    ※110℃を超えると温度上昇がはやくなります
    ※120℃未満で火から下ろすと100%失敗するのであせらない
    ※120℃になると小さな泡がたくさんできるようになる
    ※120℃になると温度計を3cmくらい持ち上げたとき、しずくが長く糸を引くようになる
    ※130℃になると温度上昇がさらに急激になりカラメル状になります
    ※120℃で火から下ろした時は10秒以内で気泡が消えるが、125℃付近の時は30秒ほどかかる

  4. すりこぎ棒で小豆大(大豆も可)くらいの量の重曹卵(手順1で作成)を加え、手早く10秒以上しっかりかき混ぜて炭酸ガスの発泡を促す
    ※必ずすりこぎ棒を使ってかき混ぜる(100円ショップで購入可)
    ※割り箸1本でかき混ぜてもほぼ成功しない
    ※すりこぎ棒がない時は割り箸を4本(2膳分)くらい束ねて使う
    ※はじめはおたまの中央で小さな円を描くように回し、徐々に周りを巻き込んでいく
    ※100回くらいかき回すつもりで
    ※70回以上まぜ、おたまの底が見えるようになってきたらかき混ぜるのをやめ、すりこぎ棒から砂糖を落として形を整える
    ※20秒以上かきまぜない
    ※重曹卵が多すぎると苦くなる
    ※テーブルに新聞紙を敷いておくとおたまの急激な温度変化を防ぐとともにテーブルの汚れ防止になる
    ※温度が高いうちに重曹卵を加えると、ふくらんだ後に潰れてしまう
    ※温度が下がり過ぎてから重曹卵を加えると膨らまない
  5. 冷却して固める
    ※十分にふくらんだ後、冷却のため濡れタオルの上におたまを載せるとよい
    ※プロはおたまの底を水につけて冷却している
    ※水につけなくてもすぐに固まるので、10秒から30秒くらい待てば十分
  6. おたまを加熱し、カルメ焼きの周りを溶かしておたまから取り外す
    ※カルメ焼きが溶けるとふちが茶色に変色する
    ※おたま全体をまんべんなく温めないとなかなか外れない
    ※おたまより熱伝導の良い銅製のカルメ焼き専用おたまを使った方が簡単に外せる
    ※おたまをお皿にコツコツとぶつけると取れやすいが、形がくずれることがある

カルメ焼きの作り方を動画でみてみよう

いざ実際に作ろうとするとあわてて失敗してしまうものです
まずリハーサルとして動画でイメージトレーニングをしておきましょう

これは2018年に私がつくった様子を動画にまとめたものです  参考にどうぞ ^_^

そしてこちらがその4年後の2022年に全力で作り直した動画です
学校の導入で使いやすいように上の動画よりも情報量を多めにしてあります

動画の中で小豆大と言っていますが、慣れるまでは大豆大でもいいと思います

注意点

銅はステンレスよりも柔らかいので、丁寧に扱わないとへこんでしまうので注意が必要

温度計で直接おたまの温度を測ろうとすると、おたまに直接触れて液切れしたり破損するおそれがあるので、温度計の左右を割り箸て挟んで輪ゴムで止めを行ってから測定する

べとっと付着した砂糖は、なかなか取れないので、お鍋にお湯を沸かしておきましょう。温度計に付着した飴状の砂糖や失敗しておたまにくっついてしまったときもお湯につければすぐに落ちます


お湯がない場合も無理してこすらなくても一晩水につけておけばきれいに落ちます。ご安心を!!

まとめ

長年実験を指導を行ってきましたが、この実験は1番と言っていいほど苦手でした

この記事は私が25年かけて得たテクニックを全て公開しているので、かなり詳しく記述してあると思います。ぜひここで紹介した動画や記事を参考にしていただいて、子どもたちが楽しくカルメ焼きに成功するよう指導にご活用ください

これからも加筆修正を重ねることで皆さんのカルメ焼きづくりに役立つ記事にしていきたいと思います

ご質問やご意見等がございましたらYouTubeのコメント欄からご連絡ください

質問にはわかる範囲で回答させていただきますし、ご意見は記事の訂正に役立たせていただきます

子どもたちと楽しいカルメ焼きづくりを楽しんでください