精米した時に出る米ぬかは漬物に長らく利用されてきました。しかし、最近ではぬか漬けをする人も減り有効活用されなくなってきました。米ぬかには高い栄養価があり、畑づくりで役立つ一方で米ぬかを肥料として使うのにはコツがあるとも言われます。今回は米ぬかをどのように活用したらガーデニングに利用できるのか実際に使ってみました。ぜひ参考にしてみてください。
米ぬかとは
米ぬかには種もみが発芽するために必要な栄養を蓄えている胚芽が入っているため、玄米で一番栄養のある部分とも言えます。ビタミンやミネラル、食物繊維など豊富な栄養素が含まれるだけでなく野菜の三大栄養素と言われる窒素、リン、カリウムもバランスよく含まれており、肥料として高い可能性を秘めています。
窒素(%) | リン(%) | カリウム(%) | |
---|---|---|---|
米ぬか(生) | 2.69 | 2.34 | 1.76 |
もみ殻 | 0.32 | 0.03 | 0.31 |
牛ふん堆肥(副資材なし) | 2.2 | 1.3 | 2.4 |
農研機構「バイオマス成分データベース」より
米ぬかを肥料として使うには次の方法があります。
- 生のまま使う
- ぼかし肥料にしてから使う
生のまま使う
米ぬかをそのまま畑にまく方法です。生の米ぬかは栄養価が高いので堆肥の発酵を促す目的で使われることがよくあります。畝の上に雑草や生ごみを敷いて、その上から米ぬかをふりかけて、雑草や生ごみの発酵・分解を促す目的で使用しています。一度にたくさんまくというよりもうっすら白くなる程度にまくのがコツです。ケーキに粉砂糖をかける要領がおすすめです。コツさえわかれば簡単にできるのでおすすめの方法です。
ぼかし肥料にしてから使う
雑草や生ごみなどの材料に米ぬかを加えて1〜2ヶ月程度じっくり発酵させてつくった肥料のことをぼかし肥料と言います。園芸店などで売られているぼかし肥料はこのようにして作られたものです。
米ぬかをガーデニングに活用するメリット3点
肥料になる
肥料とは窒素、リン酸、カリウムがのことを指しますが、実は米ぬかには窒素が約2.69%、リン酸が約2.34%、カリウムも約1.76%含まれているのです。しかもプラスアルファとしてビタミン、ミネラルが豊富に含まれた肥料だとも言えます。栄養満点な米ぬかですが、単品で使うよりも他の有機物(堆肥)と混ぜて使うとさらに効果を発揮します。家庭から出される雑草や生ごみは堆肥として微生物にゆっくり分解され発酵したのちに良い土として使われるのですが、堆肥に米ぬかを混ぜることで微生物を活性化させ、発酵を促進します。こうして作られた肥料が「ぼかし肥料」なのです。
土壌改良剤になる
米ぬかはまくだけで土壌改良剤になるのです。畑を耕すことのメリットは多くありますが、労力を伴います。しかし、米ぬかを畑にまくと「不耕起栽培(ふこうきさいばい)」と言って畑を耕さずに土壌を改良することが可能になります。米ぬかによって活性化した微生物が畑の中を激しく移動することで勝手に畑を耕してくれるのです。
病害虫を防ぐ
病気を引き起こす病害虫は米ぬかをまくことで退治することができます。しかしそれは米ぬか自体に殺菌効果があるからではありませんが、米ぬかが増殖させる善玉菌によって病原菌が駆逐されるのです。病原菌は植物から出される物質を餌にするため集まって増殖していきます。しかし、その前に米ぬかをまくことで善玉菌王国を作ってしまい病原菌が入る隙間をなくすためです。また土の中にいる害虫「ヨトウムシ」は米ぬかを食べると消化不良をや脱水症状を起こして死滅してしまうことがわかっています。
米ぬかをガーデニングに活用する際の注意点3点
窒素飢餓を引き起こす
米ぬかは微生物にとっては大好きなご馳走です。米ぬかをまかれたことで微生物が急激に増え、微生物が大量に窒素を消費してしまうからです。そもそも米ぬかには窒素が約2.69%含まれていますが、それを上回る消費が起こってしまい土壌に窒素飢餓が起こってしまうのです。そうすると畑の植物は窒素不足に陥り、一気に葉や茎が黄色くなってしまう可能性があります。
発酵による発熱とガスが植物の根を痛める
微生物が米ぬかを分解するときには発酵熱という熱を発生させます。この熱は60度近くにもなることもあり、近くに根があると根を痛める可能性があります。また分解する時に生成されるアンモニアによって根が痛むこともあります。
虫の大量発生
ヨトウムシを殺虫できる可能性のある米ぬかですが、全ての虫を殺すことができるわけではありません。栄養満点の米ぬかは使い方次第では他の虫を呼び寄せて大量発生する可能性もあります。
米ぬか散布の仕方
米ぬかは一度にたくさんまくというよりもうっすら白くなる程度にまくのがコツです。ケーキに粉砂糖をかける要領でいきましょう。米ぬかのデメリットを3つほど挙げましたがこれはまき過ぎた時に起こることなので、うっすらとまく分には問題はないようです。
米ぬかの簡単な入手方法
米ぬかは、コイン精米機で無料でもらえます。またお米やさんや直売所で販売しているところもあります。ただし販売されている米ぬかは加熱してあるものが売られていることもあるので、堆肥(たいひ)などの発酵を促す目的で使うのであれば生の方がおすすめです。購入する場合は加熱の有無を確認してから購入したほうがよさそうです。
まとめ
精米したときに出る米ぬかには植物の成長に必要な栄養素と土の中の微生物を活性化させる力があります。ただ単に畑にまくだけでも肥料になりますが、家庭から出た雑草や生ごみなのの有機物を微生物に食べさせることで早く良い土を作っていきましょう。また、雑草や生ごみ等が可燃ごみから家庭で処理されるようになれば二酸化炭素の発生も抑えられ地球温暖化を防ぐ効果もあります。家庭から出た雑草や生ごみを米ぬかを使って微生物に分解してもらい肥えた土を作っていきましょう。