ノートパソコンを使っていると「いちいち起動させたりシャットダウンしたりめんどくさいなぁ」と思ったことのある人は多いんじゃないでしょうか。
私は大学時代からMacとWindowsの両方を使い始め30年になります。当時はPC-9801BX/U2の上に重たいブラウン管モニターを重ねて使っていましたが、クラムシェルモードで常時スリープで待機させる便利さを知ってからは、全てのマシンをクラムシェルモード化して使っています。
今のメイン機はM1のMacBook Air をデュアルモニター化したものです。ファンがなく無音でありながら発熱による劣化の心配もないところが気に入っています。今回はそのクラムシェルモードについてご紹介しようと思います。
クラムシェルモードって一体なんなの?
クラムシェル(clamshell)とは英語で「貝殻」という意味です。ノートパソコンはふつう開いて使いますが、ノートパソコンを閉じたまま外付けのモニターを使って動かすことをクラムシェルと言いいます。
ノートパソコンは外部のモニターに繋いでいれば閉じてもシャットダウンせず動き続けるよう設定にすることができるのです。これがクラムシェルモードです。
この閉じたノートパソコンが貝殻のように見えるからクラムシェルといいます。
本体のモニターは閉じてますが、外付けのモニターは映っているので、外付けのキーボードやマウスを使うことで作業をすることができるのです。
どうしてクラムシェルをすすめるの?
私はノートパソコンのクラムシェルモードでの活用をおすすめします。その理由はずばり便利で快適だからです。パソコンがいつでも使えて、机の上がスッキリするからです。
それではまずクラムシェルモードにするとどのようなメリットとデメリットがあるのかみていきましょう。
クラムシェル化する4つのメリット
- 大きな外付けモニターを快適に使える
- いちいち起動したりシャットダウンする手間がない
- 机の上を広々使える
- ノートパソコンを開けばデュアルモニターとして使える
ひとつずつ簡単に解説していきます。
大きな外付けモニターを快適に使える
クラムシェルのメリットのひとつは、外付けモニターを快適に使えることです。ノートパソコンの一般的モニターサイズは11インチから15.6インチあたりです。私が使っているMacBookだと13.3インチです。最近の液晶は綺麗ですが、それでもその小さな画面をずっとみているのは疲れます。特に老眼の始まってきた私にはノートパソコンの画面は小さすぎます。外付けの大型モニターを配置することで、長時間のデスクワークでも目がかなり楽になりました。
起動したりシャットダウンする手間がない
パソコンにはスリープモード(Mac)や休止状態(Windows)というものがあるのはご存知でしょうか?これはパソコン操作が一定時間行われなかったとき、CPUを省電力モードにし、メモリ以外の装置を停止することで、電力消費を抑える起動状態です。シャットダウンするのに比べると多少電力は消費しますが、起動中のアプリや開いているファイルをそのままにしておくことができます。クラムシェルモードでは作業が終わってもパソコンをシャットダウンせず、そのまま離席すれば、設定時間後に勝手にモニターが消灯しPCもスリープ(休止状態)になります。そしてまたパソコンで作業をしたいときにはマウスやキーボードを操作すれば瞬時に前回の状態に復帰します。
パソコンの起動時間は近年かなり早くなってきました。SSDを使っているものは早いもので20秒弱、ハードディスクを使っているものでも30秒程度のものもあるようです。
しかしこのスリープモード(休止状態)からの起動は約5秒程度で可能です。デスクに戻ったときにマウスをちょっと動かせば、着席したときにはモニターが映っているくらい早いのです。
今の時代はパソコンをオンオフする時代ではなくなってきています。マウスを動かせばすぐに起動し、席から離れれば数分でスリープモードに入るそんな時代がやってきているのです。
机上を広々使える
30年前私がパソコンを使い始めた頃はパソコン本体が大きく、その上に重たいブラウン管のモニター(CRT)が載っていました。そのため、机の上にパソコンがあると他の事務作業は別の机でしなければなりませんでした。
近年では小型のノートパソコンの普及してきましたが、それでも開いて仕事をしていると、ノートパソコンが机の上を占領してしまい書類の整理などができなくなってしまいます。
そこでクラムシェルモードにするとどうなるか?
外付けモニターはとても薄く厚さ数センチしかありません。
机の奥にこのモニターを配置すれば手前にはキーボードとマウスしかありませんから書類の整理も十分にできます。
私は机が2つ並んだ状態で作業をしているので、MacBookは隣の机の上にありますが、机が1つしかない場合は、専用のスタンドを購入して下の写真のように縦置きすればスペースの有効活用ができます。
ノートパソコンを開けばデュアルモニターとして使える
パソコンで作業をしていると、何かを調べたくなることはありませんか?書類を作っていたらちょっと調べ物がしたくなった。そんなとき画面を左右で使い分ける人も多いと思います。しかしクラムシェルなら閉じていたノートパソコンをひらけばそこに新しいデスクトップが現れそこで調べるなんていう使い方ができるのです。
外付けモニターには2つの設定方法があり、「ミラーリング」といってノートパソコンの画面と同じものを外付けモニターに映すこともできますが、おすすめは「拡張」です。これは外付けモニターの他にノートパソコンのモニターを新たな領域として追加するものでそれぞれ別の作業に使うことができるからです。
つまり外付けモニターで会社の書類を作りながら、ノートパソコンで調べ物をするいった使い方が可能なのです。
ではクラムシェルモードにした時にデメリットはないのでしょうか?
クラムシェルモードにする4つのデメリット
- 大型モニター・キーボード・マウスなどの購入にお金がかかる
- ノートパソコンによっては内部に熱が溜まるものもある
- 内蔵カメラやSiri、音声入力が使えない(ノートパソコンを開けば使える)
- ノートパソコンを接続したり取り外すときの手順に気をつける必要がある
ひとつずつ簡単に解説していきます。
大型モニター・キーボード・マウスなどの購入にお金がかかる
マウスやキーボードなど周辺機器は必ず用意しなければならないので、それなりにお金がかかります。しかし、自分が使いやすいものを選んで購入できるのはメリットともいえます。
熱が逃げにくい
一番大きな問題はノートパソコン内部に熱がこもってパソコンの性能を落としたり寿命を早める可能性です。一般的にパソコンはCPUを中心に熱が発生し、高熱になるとパフォーマンスが落ちてしまいます。また半導体などへダメージを与えることにもなりかねません。
クラムシェルモードにするときにはパソコンに熱がこもらないよう風通しの良い場所に置いたり、縦置きにして両面から放熱できるようにするなど工夫が必要です。
私はM1のMacBookを1年以上クラムシェルで常時スリープ状態で使っていますが、MacBookが熱くなったということは1回もありません。エアコンのかかっていない夏の日に動画の編集でかなり負荷をかけた状況でもMacBookはひんやり冷たい感じでした。そういった意味ではM1/ M2 MacBookはクラムシェルモードで使うには最適なマシンです。
内蔵カメラや内蔵マイクが使えない(ノートパソコンを開けば使える)
最近ではリモートワークを取り入れている会社や学校も増えてきています。クラムシェルモードでパソコンを使っているとカメラが使えないため、外付けのカメラを別途購入する必要があります。
またノートパソコンでSiriや音声入力をする人もいると思います。 外部マイクを使えばウェブ会議等で発言することはできるようになりますが、Siriや音声入力はMacBookを開かないと使えなく なることにも注意が必要です。
ノートパソコンをモニターに接続したり取り外すときに気をつける手順
ノートパソコンをモニターにつないだい外したりするときに、いちいちシャットダウンしていては不便です。
しかし、パソコンとモニターの間では常に信号のやり取りが行われているので、つないだりはずしたりするときにはちょっとして手順が必要になります。
手順を間違うと機種によっては映像が一時的に映らなくなったりする不具合が起こりますので、気をつけてください。
クラムシェルモードを始める時の手順
- モニターに電源ケーブルを接続する
- ノートパソコンを起動させる
- ノートパソコンを開いた状態で外部ディスプレイに接続する
- ノートパソコンに電源ケーブルを接続する
(1の時につないでしまってもよい) - モニターをオンにし、画面が表示されたことを確認する
- ノートパソコンを閉じる
- ノートパソコンを風通しのよい邪魔にならない場所に置く
ノートパソコンをシャットダウンせずに取り外す手順
(パソコンがスリープ状態の時)
- パソコンとモニターの接続を切る
- ノートを持ち出す
(パソコンが起動している時)
- パソコンが開いている時は閉じる
- ディスプレーの電源をきりスリープ状態にする
- パソコンとモニターの接続を切る
- ノートを持ち出す
ノートパソコンをモニターに再接続する手順
- ノートパソコンを閉じる(スリープ状態にする)
- パソコンとモニターを接続する
- モニターの電源が消えている時はオンにする
- マウスかキーボードを操作してスリープ状態を解除する
以上がクラムシェルにしたときのデメリットです。最初は手順がめんどくさいように感じるかもしれませんが、何度か失敗するうちにコツがわかってくると思います。
ハードディスクを使っているノートパソコンの場合、夜中のアップデートが行われるとカリカリと音が出る場合がありますが、更新しないよう設定すれば問題ありません。
クラムシェルモードができるノートパソコンとは?
基本的にどんなノートパソコンでもできます。
しかしPCによっては発熱が大きいものもあるので、クラムシェルモードにしてもしっかり放熱できる場所に置く必要があります。
最後に、クラムシェルモードにするために必要な機器を紹介します。
必要となる主な機器
- 外部ディスプレイ
- USBハブ
- マウスやキーボード
- 縦置きスタンド(なくても問題ない)
- マイク付きWebカメラ(なくても問題ないではない)
ひとつずつ簡単に解説していきます。
外部ディスプレイ
クラムシェルにするにはモニターがないと何も始まりません。外部モニターを接続して快適な環境を実現するためのクラムシェルなので、自分が使いやすいモニターを検討してみてください。私は23.8インチのモニターを接続していますがとても快適です。私個人としてはこのサイズがおすすめです。詳しくは別の記事で紹介していますので参考にしてみてください。
安いものは音が良くないので、音までこだわる人はよく調べて買うようにしましょう。
マウスやキーボード
マウスとキーボードも絶対に必要です。有線でもワイヤレスでもどちらでも大丈夫ですが、私のおすすめは断然ワイヤレスです。机の上のスッキリ感が全然違います。
マックのマウスと言ったらこれが定番
私はテンキーはいらないので下のキーボードを使っています
Macを使っていてテンキーをよく使われる方はこれにしましょう
Windowsの方はAmazonで自分好みのキーボードとマウスを探してみましょう
縦型スタンド
縦型スタンドはなくても問題ありませんが、あると便利です。それはノートパソコンを立てると机上がさらに広く使えるからです。また放熱効率が良くなることもメリットです。
Webカメラ
オンラインミーティングをする人にとっては必需品「Webカメラ」
まあ、Webカメラに関しては超微細な映像にこだわる人もいますし、むしろあまりはっきり映らないほうがいいという人もいます。フルHD60fpsあたりのものが値段も性能もお手頃なのでおすすめです。
M1/M2 MacBookでマルチモニター化について
M1/M2 MacBookを使っていてマルチモニターで使いたい人は多いと思います。
M1/M2 MacBookには外部モニターが1つまでしか接続できないよう制限がかけられているものもあります。しかし特別な方法を使えばマルチモニター化することが可能です。詳しくはこちらの記事をご覧ください。
まとめ
今回はノートパソコンをデスクトップ化して快適な環境をつくろうというテーマで、クラムシェルモードのメリットとデメリットをまとめてみました。
今の環境で困っていないという人も多いと思いますが、クラムシェルモードは今の環境をさらに便利で快適な「新次元」に変化させる可能性があります。気になった人はぜひ試してみてください。