出産より痛い?寄生虫「アニサキス」の恐怖

「6月〜10月はサビキ釣りのベストシーズン」🎣
「サビキ釣りでいわしをいっぱ釣ってみたい」🐟🐟🐠🐡
「自分が釣った魚を食べるのは最高!」🍣
釣り好きにとって絶好のシーズンがやってきました。
釣りは嫌いでも寿司やお刺身の好きな人は多いのではないでしょうか
自分で釣った新鮮な魚を食べてみたいけど、食べても大丈夫なのかな?
美味しい魚ですが、そこには思わぬ危険性が潜んでいるのです
今日はいつか遭遇するかもしれない危険性「アニサキス食中毒」とそれを避ける方法についてお伝えしようと思います。

サバなどの魚介類に寄生する寄生虫「アニサキス」

寄生虫「アニサキス」による腹痛被害が全国で相次いでいます

2022年6月には元AKBの板野友美さんも被害にあわれました
「出産よりも痛かった」といわれるこのアニサキス食中毒はどのようなものなのか

東京海洋大学准教授の嶋倉邦嘉先生のお話をまとめました。

今年度の発生件数

発生件数推移

2022年6月末日現在の発生件数は全国で150件。

主な原因は以下のとおり。

イナダの刺身、サバ・カワハギの刺身、アジ・ブリの寿司、イワシの刺身、しめさば、イカ・サバの刺身、マサバの刺身、アジの刺身

刺身や寿司による食中毒が多いようです

アニサキスの生態

アニサキスは線虫類に属する寄生虫です
◆成虫 10cm   太さはボールペンの芯
◆幼虫 2〜3cm  太さはシャープペンの芯
白色の少し太い糸状

◆アニサキス幼虫が寄生している魚介類
サバ、アジ、サンマ、カツオ、イワシ、サケ、イカなど

オキアミを食べている魚介類に寄生しているってことは、サビキ釣りで釣れた魚に寄生している可能性が高いんだね
川魚、貝類、車海老・ブラックタイガーなどのエビにはアニサキスは基本的に寄生していないといわれています

◆アニサキスのふえ方

1.クジラなどのお腹の中でアニサキスの成虫が卵を産む
2.フンと共に卵を排出
3.オキアミが卵を食べる
4.魚がオキアミを食べることでアニサキスの幼虫が魚の内臓に寄生
5.クジラが魚を食べることでクジラに寄生
4の状態の魚が水揚げされ死ぬとアニサキスは内臓から身へ移動する
それを人が身を食べることでアニサキス食中毒となる
◆アニサキス幼虫が寄生する生鮮魚介類を食べた後、数~十数時間後に、激しいみぞおちの痛み、吐き気、嘔吐
→ 急性胃アニサキス症
◆十数時間後以降に、激しい下腹部の痛み。
→ 急性腸アニサキス症

アニサキス体験談

生きたアニサキス編

夕方にホッケを食べた
その後、嘔吐、脂汗、胃壁がちくちくし始める
夜中にどんどんひどくなり眠れない
救急車で病院へ
胃カメラでアニサキスを確認し、除去した幸い腸までは達していなかったが、腸まで落ちていたら除去はできないため痛み止めの点滴を打ちながら排泄されるまで待つほかないとのことだった。さらに腸壁を破ってしまったときはさらに大きな問題になる可能性もあるという
アニサキスは胃や腸に噛み付いているのですか?
いいえ。アンサキスの頭部にはナイフのような突起物があります。この突起物を胃や腸に突き刺すことで激痛が起こっているのです

死んだアニサキス編

食事後、手の平にかゆみ、じん麻疹が表れ、尿管結石よりも激しい腹痛が始まった
病院で診察を受けたところ死んだアニサキスによるアレルギー反応が原因とのことだった。魚は冷凍保管したものなので、アニサキスは死滅していたが、死んだアニサキスによるアレルギー反応であった。このことからアニサキスは死んでいても激痛を起こすことがわかる

アニサキス撃退法 厚生労働省

厚生労働省のHPによるアニサキスによる食中毒の予防方法

消費者の皆さまへ

◆ 魚を購入する際は、新鮮な魚を選びましょう。また、丸ごと1匹で購入した際は、速やかに内臓を取り除いてください。
◆ 内臓を生で食べないでください。
◆ 目視で確認して、アニサキス幼虫を除去してください。

※ 一般的な料理で使う食酢での処理、塩漬け、醤油やわさびを付けても、アニサキス幼虫は死滅しません。

事業者の皆さまへ

◆ 新鮮な魚を選び、速やかに内臓を取り除いてください。
◆ 魚の内臓を生で提供しないでください。
◆ 目視で確認して、アニサキス幼虫を除去してください。
◆ 冷凍してください。 (-20℃で24時間以上冷凍)
◆ 加熱してください。(70℃以上、または60℃なら1分)

※ 一般的な料理で使う食酢での処理、塩漬け、醤油やわさびを付けても、アニサキス幼虫は死滅しません。

  • アニサキスはクジラの酸性の胃の中を好んで生息しているくらいのなので、調味料で殺すことはできません
  • アニサキスは魚が死ぬと内蔵から身に移動するので、魚を食べる際には新鮮な魚を選び、速やかに内臓を取り除きましょう
  • アニサキスは腹部に潜んでいいることが多く、身の色が周りと比べて変色していることが多いので目視で確認して包丁で取り除きましょう
  • アニサキスを死滅させるには−20℃以下で24時間以上冷凍したり、70℃以上または60度以上で1分加熱する方法が有効です。しかし、たとえアニサキスが死滅していても取り除くことができないとアレルギー症状を防ぐことはできません
  • しっかりと目視で確認して除去する
  • さくで買ったときは薄切りにして見つけやすいようにする
  • なめろうのように細かく叩くと良い
  • いかそうめんのように細く切る食べ方もよい

まとめ

魚を食べるときにアニサキスについて考えながら食べる人は少ないと思います
しかし、嶋倉先生のお話によるとアニサキスに対して理解を深め、食べる前によく確認することが大切だそうです

  1. 魚を食べるときには、新鮮なうちにさばいで内臓を取る
  2. さばくときに目視でしっかり確認し除去する
  3. なるべく24時間以上の冷凍や70℃以上の加熱をして食べる

「出産より痛い」とか「尿管結石より激痛」といわれるアニサキス食中毒。件数は少ないとは言えこわいですね

これからはアニサキスにもしっかり気をつけて、美味しいお魚をいただきたいですね

この記事が皆さんの寄生虫「アニサキス」への理解を深めるのに役立ってくれれば嬉しいです